高校
2025/06/19
高校1年生「探究フィールドワーク」-リアルな体験から、自分だけの「視座」へ-
高校1年生の探究活動のひとつ、「探究フィールドワーク」は、6月18日に行われました。
今回の企画は、単に“問い“を見つけることを目的としたものではありません。社会の現場に身を置き、専門家の視点や地域の課題、空間の構造、ビジネスの発想法などに触れることで、物事を多面的に捉える“視座”を養うことを目指しています。
生徒たちは、自分自身の関心と社会との接点を見出し、その中で「どのように考え、どうアクションにつなげていくか」を考察する姿勢が求められます。社会の多様な現場に身を置くことで、自らの内側にある関心を可視化し、問いを育てることになります。その思索の軌跡は、今後の学びの方向性やテーマ設定へと発展し、次に取り組む「探究論文」や「グローバルプロジェクト(高2)」へ、そしてそれぞれのキャリア形成へと接続されていきます。
■各訪問先から学べること、その意義
今回のフィールドワークでは、生徒が事前に関心に応じて選んだ4つの訪問先に分かれて参加します。
それぞれの訪問先では社会の第一線で活躍する専門家が講師として伴走し、現場ならではの問いや発見を得ていきます。
■秋葉原:カプセルトイとマーケティング(高橋晋平氏:おもちゃクリエーター/株式会社ウサギ 代表)
「発想力」や「消費者心理」に迫りながら、なぜ人は“つい欲しくなる”のかを考察。
ビジネスやデザイン、心理学など多角的に問いを広げるきっかけに。
■銀座・有楽町:建築と空間の体験(森藤文華氏:建築家/2.5 architects 主宰)
街の中にある建築や空間の工夫に着目し、人の感情や行動に影響する要素を読み解く。
都市づくりや居心地の良さに関心を持つ生徒にとって、実感を伴う学びとなる。
■増上寺:宗教と地域文化(堀江利昌氏:僧侶/元弁護士)
歴史ある寺院の存在意義を通じて、文化の継承や宗教の社会的役割に目を向ける。
哲学的・倫理的な問いが自然に生まれるテーマ。
■Moon Creative Lab:起業とイノベーション(星野尚広氏:株式会社エクオル)
社会課題に対して、ビジネスという手法でアプローチする新しい働き方を学ぶ。
将来のキャリアを考える上での視野が広がる体験に。

■リアルな体験から、自分だけの「問い」へ
フィールドワーク当日は現地集合・現地解散とし、生徒たちは五感で感じたことをその場で記録しています。
講師の話を聞き、仲間と議論を交わしながら、自らの気づきを探究的な問いへと昇華させていきます。
事後には、それぞれの体験を振り返り、今後に向けた「ネクストアクション」を宣言します。
これは、単なる体験の記録ではなく、“この経験をもとに何を考え、どう動くか”を言語化する大切なプロセスとなります。
4つの訪問先の各現場には教員が同行し、それぞれの視点で発信しています。
以下のブログ記事で生徒たちの活動の様子をご高覧ください。
<ブログリンク>
■秋葉原:カプセルトイとマーケティング(高橋晋平氏:おもちゃクリエーター/株式会社ウサギ 代表)
実際に売り場を観察し、自分自身が購入者としてどう選ぶかを考えながら、売れる商品の仕組みやターゲット設定について理解を深めました。
最後には自分たちで商品アイデアを出し合う活動も行い、発想力と観察力を活かした学びの場となりました。



■銀座・有楽町:建築と空間の体験(森藤文華氏:建築家/2.5 architects 主宰)
東京国際フォーラムや銀座の街並みを歩きながら、建築の構造や歴史的背景について学ぶフィールドワークを実施。
街に溶け込む建築とは何か、デザインと機能の両立とは何かを考えることで、日常の景観の中にある「問い」を見出す体験となりました。



■増上寺:宗教と地域文化(堀江利昌氏:僧侶/元弁護士)
「寺院の新たな魅力を発信するアイデアを提案せよ」というミッションのもと、歴史ある寺院を実際に訪れ、境内の見学とワークを組み合わせた探究活動を実施。グループで意見を出し合いながら、文化・観光・地域との関わりについて実感をもって学ぶ機会となりました。



■Moon Creative Lab:起業とイノベーション(講師:株式会社エクオル 星野尚広氏)
起業や新しい働き方に触れる体験を通じて、「なぜ探究するのか」を自分自身の経験と照らし合わせて考える時間となりました。
星野さんからは、目標設定型・積み上げ型・デザイン型という思考の違いが語られ、生徒たちは日常の違和感から問いを掘り下げていく探究の本質に触れました。


