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2021/08/05

鈴鹿サーキットでの5時間耐久レースを完走 -中高自動車部ソーラーカー大会参戦レポート-

7月30日-31日、鈴鹿サーキットで開催されたソーラーカー大会「FIA Electric & New Energy Championship ソーラーカーレース鈴鹿 2021」に工学院大学附属中高自動車部が参戦し、クラス5位となりました。

今回の主役は、中高自動車部の中から選ばれた高校生10人、3年生6名と2年生4名です。同部は、これまで、エコランと速さではなく燃費を競う大会に参加してきました。しかし、2020年に、高校と道路を挟んで向かい側にある工学院大学ソーラーチームから古い車両を譲り受けたことをきっかけに、ソーラーカーへの挑戦が始まりました。工学院大学八王子キャンパスにはソーラービークルセンターもあり、世界大会で実際に戦った同チーム所属の大学生もいます。すぐ近くに車両製作に適した設備があり、大学教授・学生が技術と経験を惜しみなく教えてくれることは、中高自動車部にとってとても心強い連携です。高校生は、6月ごろから放課後に、大学ソーラーチームの監督 濱根洋人教授(機械システム工学科)の下で作業を続ける日が続きました。

今回の大会は、車両の仕様によって5つのクラスに分けられます。中高自動車部が登録したドリームクラスは、7チームがエントリー。車両の寸法やバッテリーの重量などからこのクラスを選びました。高校だけでなく、大学生チームや社会人によるチームなど、全国各地から様々な作り手・乗り手が競う5時間耐久レースで、正午から午後5時までに走ったコースの周回数を競います。ドライバーだけでなく、タイヤ交換やブレーキなどのメンテナンス、搭載するソーラーパネルから得られる太陽光エネルギーを監視して走り方を判断するマネージメントなど、チームプレーが必要とされます。

今回参戦した高校生10名。ピット前にて。

初日

7月30日午前6時、鈴鹿サーキットには、すでに自動車部メンバーの姿がありました。7時半からの車検に備えるためです。ソーラーカーは全て手作りですから、安全性を確認するためにレース直前に大会主催者がチェックします。濱根教授に教わりながら、部員が直前まで全員で整備・確認した結果、車検は無事合格! ほっとしたのもつかの間、午後は試走です。翌日のスタート順番を決める予選を兼ねており、結果好タイムを記録し7番目にスタートすることになりました。5時間耐久レースに参加するのは3クラス合計24チームなので、なかなか良い位置です。

2日目

朝から曇りがち。天気予報では、午後にゲリラ豪雨とか。部員たちは、午前中に開催された4時間耐久レースを“午後の予習”として、ピットから見学しました。途中で動かなくなってしまったチームを見て不安がよぎり、“止まらないために、どこを整備・確認すべきか?”など自分事として捉えて準備を進めました。7月中旬から自分たちで組み立ててきた車両なので、整備はもう手慣れたものです。

ピットからスタートポジションへ入場します。観客席からは、家族や大学のソーラーチーム関係者が声援を送ります。

正午、いよいよスタート! ファースト・ドライバーは落合君。モータースポーツの経験を存分に活かして、4位に付けます。雷鳴が遠くに鈍く聞こえ、雨は時折ぱらぱら落ちてくる怪しげな天気をものともせず、快調に飛ばします。

スタートから1時間半たったところで、セカンド・ドライバーの中村君にバトンタッチ。心配されたゲリラ豪雨は無くなり、強い日差しが照り付けます。冷房のない車内は、相当な暑さのはずですが、事故無く時速60km前後の安定した走行を続けます。他チームの追い上げもあり、順位は5‐12位あたりで目まぐるしく変わります。サーキットは高台にあり、観客席からは遠くに伊勢湾が望める絶景ポイントもあるのですが、ドライバーにとっては、上りでカーブ。抜かしたくても、視野が狭くて接触の恐れもある場所で、景色を楽しむ余裕はありません。

14時ごろからは、3番手の四條さんが運転席に乗り込みました。サーキットは一周約6000m。ピットや観客席から走行が見えない部分はモニターに表示され、実況放送が流れます。15時になろうというころ、「おっと、工学院大学附属高等学校自動車部、スピンか!?」というアナウンスが。ピットでは、モニターを見つめたり、ドライバーに無線で確認したり迅速に状況を確認します。幸い、怪我もマシンの破損もなく、すぐにコースに復帰しました。

レース終了まで残り50分となった時点で、ドライバーは落合君に。自動車部にとっては初参戦の大会ですが、大会としては今年で終了が決まっているため、どのチームも様々な思いがよぎります。有終の美を飾りたいチーム、今までチームを率いてきた監督がラストランをするチーム、サーキットの高低差を活かして余韻に浸りながらゴールしたいチーム。会場は一気にクライマックスを迎えます。終了時刻の17時を迎え、ラストランから戻ってきた落合君を部員はコース際で出迎え、完走できた達成感を共有しました。

結果は、ドリームクラスでは5位、5時間耐久レース全体では12位でした。表彰台こそ逃しましたが、初めての参戦・完走は、部員に大きな自信をもたらしました。次は、10月に白浜(和歌山県)で行われる大会に新メンバーで、大学チームと一緒にエントリー予定です。引き続き、応援よろしくお願いします。

ドライバーの感想

落合涼太(高2)第1ドライバー

今回完走するまで人生で1番の緊張を体験しました。 でもチェッカーフラッグを受けたときは緊張感が解けるとともに達成感でいっぱいでした。完走する事ができたのは大学チーム監督の先生をはじめとする大学のソーラーカーチームの皆さんや自動車部を率いて下さる顧問の先生、最後まで応援、協力してくださった皆さんのおかげです。ありがとうございました。

中村優希(高3)第2ドライバー 

まずは、最初で最後の鈴鹿で完走できたことをとてもうれしく思っています。 しかし、完走までの道のりは決して短くはなかったです。 自分はドライバー兼ブレーキなどの足回りを担当していたのですが、 今回の鈴鹿のレギュレーションに合わせ、長時間の機械加工などが必要でした。 試走ではブレーキの故障が多く、大会直前にも工学院大学ソーラーチームにお世話になりました。しかし、多くの時間を費やしたおかげで、本番では故障がなく自分のスティントを終えることができ、他の2名のドライバーにも安心して走らせてあげることができました。 最後になりますが、完走する瞬間まで関わってくださった先生や仲間をはじめ、寄附という形で自分たちを応援してくださった皆様にも感謝申し上げます。

四條鈴華(高3)第3ドライバー

大会の感想としては、すごく楽しかったという思いが1番大きいです。初めてのソーラーカーレースだったり、初めて運転するコースだったり色々な”初めて”で緊張しました。実は直前まですごい緊張して全然落ち着けなかったのですが、ずっと一緒に頑張ってきた仲間がいたから安心して大会に挑め、多くの方から応援を貰えたおかげで頑張れました。無事に完走出来てすごく嬉しかったです。「安全に楽しんで完走する」が目標だったので達成できて良かったです。 これまでご支援頂いた皆様、工学院大学ならび高校関係者の皆様、協力してくださった工学院大学ソーラーチーム所属の大学生の皆様、OBの皆様、保護者の皆様など、今回私たちが大会を成功できたのは皆様の支えのおかげです。 応援してくれたから私たちはこの大会で貴重な経験をできたし、結果を記録することができました。 私たちを信じてくれて本当にありがとうございました。 これからの後輩たちの活躍にも応援よろしくお願いします。