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2021/03/23

終業式・離任式を行いました

3月23日(火)に2020年度3学期の終業式と離任式が行われました。

予測不能な未来を担うことの意識‼

工学院大学附属中学校高等学校 校長 平方邦行

先日、3月3日に高校の卒業式が快晴の下で、おごそかにしかし歓びに満ち溢れて行われ、223名が工学院を巣立って行きました。昨年に続き在校生の姿のない、やや変則的な形になりましたが、多くの保護者・教職員・来賓の方々に祝福されてクラスメイトや先生方と別れを惜しみながら、滞りなく思い出の一日は幕を閉じたのでした。

毎年、卒業生には伝えておりますが、入学から卒業するまでが、工学院の生徒なのではありません。卒業しても同窓生として工学院の歴史のメンバーとして存在する、共通のDNAをつないでいくことを意味します。ですから、皆さんの成長は、工学院の歴史そのものなのです。この事は、在校生の皆さまにも、伝えておきたいと思います。ぜひ覚えておいてください。

ところで20世紀の教育は、特に第2次世界大戦(~1945年)の終わりから現在に至るまで、大量の「知識」の習得や「過去の経験」の追体験を重視して行われていました。つまり、学歴エリートこそが、将来の安定的生活と活躍の場を確保できるという幻想が蔓延していたのです。このような「学歴社会」は「格差社会」そのものであり続け、結果として「環境破壊社会」が長く続いて行ったのです。知識偏重の教育では、未来に起こるであろう予測不能な問題を解決することは、とてもできない筈です。このことを世界の一部のリーダーや、そのブレーンは知っていたと思います。世界の先進諸国の教育改革はそのために行われました。そうして学力のコペルニクス転換が起こっていたのです。しかし、わが国では「予測不能な未来に必須な学力」が何であるかが定まらず、徒にレクチャーを中心にした講義型の授業が評価され続け、インプットに重点が措かれた学校教育が続いてきました。

しかし、変容を続けるグローバル社会は、ICTを活用した教育が一般的になり、PBL×G-STEAM等々の未来を見据えた国々の教育や、世界中に広がるIB教育ではBYODを抜きにすることはあり得ません。わが国の教育と比較すると、知識偏重の20世紀型教育から未だに脱却できない日本の中等教育が、はっきり見えてきます。

そのような中で附属中高では、Golden Rule(黄金律)とCreative Schoolこそ「21世紀型教育」の原理原則であることを念頭に置き、2013年より創造的な教育改革を推進し「未来を担う意識」は、生徒たちの中に着実に芽生えてきました。「21世紀型教育」は着実に根付き更に拡大しています。生徒たちは多様な研修・留学や、国際平和・映像コンクール・Fabスペースでの経験を活かし、自分の未来をデザインするProject Baseの授業で、実現力を形にできるようになってきたことに喜びを感じています。2020年度は新型コロナウイルス感染の猛威によって、学校は勿論のこと世界は大きく変わってしまいました。

中学3年生の皆さんは、本日3月23日は卒業証書授与式ですね。併設型一貫校では、折り返し点ということです。予測不能な世界は、私たちの予想より遥かに早く訪れました。新型コロナ感染症に象徴されるような「予測不能な未来に備える」ことの必要性が、多くの人に認識されたと思います。予測不能な未来を担うことは、私たちを襲う多様な困難を解決できる豊かな創造性を身に付けることと同時に、“Growth Mindset”された精神を持ち続けることです。それは、21世紀こそ教育の世紀であることを意味するものです。

生徒・保護者の皆さま、そして教職員の方々からいただいた8年間のご厚情に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。・・・さよなら工学院。

(PTA広報誌「ギガントゥムフメリス」第61号(2021年3月23日発行)より)

今年度で退職される先生方

(左より)高橋一也先生(英語)、有山裕美子先生(司書教諭・国語)、平方邦行先生(校長)、鈴木悠希先生(養護)、濱﨑愛理先生(保体)